株式会社和心村
帰る日の朝もゆっくり過ごせることを、宿のおもてなしに。もう少し眠ることも、朝食のあとにコーヒーをもう一杯楽しむこともできます。帰り支度にもゆとりが生まれます。
保護猫たちが暮らす、泊まれる里山の小さな村「和心村」(千葉県富津市)は、「朝を旅人に返す」を合言葉に「十一時倶楽部」を提唱することになりました。日本では10時チェックアウトの宿が多く見られます¹。標準チェックアウトを11時以降とし、朝食や帰り支度を急がずに過ごせる朝を、宿のおもてなしとして広げる呼びかけです。
この考え方を伝えるため、時間と幸福感、睡眠、休暇に関する研究と、房総の宿泊施設のチェックアウト時刻を独自に調べた結果を、一つの記事にまとめて公開しました。
公開記事:十一時倶楽部:朝を旅人に返す

豆を挽いてコーヒーを淹れる、和心村でのひととき。
十一時倶楽部が大切にする、帰る日の朝の1時間
「十一時倶楽部(The Eleven O’Clock Club)」が大切にするのは、旅人が目覚めてから出発するまで、自分のペースで過ごせることです。
10時チェックアウトと比べると、11時なら客室を使える時間が1時間増えます。その時間を、もう少し眠るために使っても、朝食のあとに休むために使ってもいい。荷造りや身支度に余裕を持たせることもできます。

10時チェックアウトと比べた、11時チェックアウトの朝の1時間と過ごし方の例。
朝食のあと、すぐに帰り支度に取りかかる代わりに、もう少し部屋で過ごす。コーヒーを飲んでも、庭を眺めてもいい。和心村は、出発までの時間をどう使うか自分で選べることに、11時チェックアウトのよさがあると考えています。

椅子に腰を下ろして里山を眺められる、和心村の住箱のテラス。
十一時倶楽部では、標準チェックアウトが11時以降で、その時刻を公式サイトまたは予約サイトで確認できることを、参加・掲載の基準にしています。
有料のレイトチェックアウトや、特定の宿泊プランだけに適用される延長特典は、この基準に含めません。追加の延長手続きをしなくても、11時以降まで客室で過ごせることを大切にしています。
観光庁の「モデル宿泊約款」第9条も、客室の使用時間を全国一律で10時とは定めていません。時刻欄は空欄で、各施設が設定する形式です²。清掃や次の宿泊者の受け入れに必要な時間を踏まえながら、旅人が朝をゆっくり過ごせる時間をどう確保するか。その選択を、宿のおもてなしとして考えます。
「時間のゆとり」と幸福感を、研究から考える
2017年に米科学誌PNASに掲載されたWhillansらの研究は、米国・カナダ・デンマーク・オランダの計6,271人の調査で、時間を節約するサービスにお金を使うことと、生活満足度の高さとの関連を報告しています。
働く成人60人が、2週にわたって各40ドルを「時間を節約する買い物」と「物を買うこと」に使った実験では、買い物をした日の夕方に、その日の感情や時間に追われる感覚を尋ねました。回答を点数化して比べると、ポジティブな感情の平均値は、時間を節約した日が4.00、物を買った日が3.71でした。この指標は、高いほどポジティブな感情が強いことを示します。一方、時間に追われる感覚の平均値は、それぞれ3.49、4.22で、低いほど時間に追われる感覚が弱いことを示します³。
ここで紹介する研究は、時間や睡眠、休暇の価値を考えるための参考資料です。チェックアウト時刻による幸福度の違いを実証したものではありません。和心村は、時間の使い方を自分で選べることの価値を、旅先の朝にも生かせないかと考えています。
また、仕事を離れた時間に、心身を休める経験を調べたSonnentagとFritzの研究では、930人を対象とした尺度の検証で、心理的距離、リラックス、熟達、コントロールという4つの側面が区別されています。なかでも「コントロール」は、余暇をどう過ごすか自分で決められることに関わる視点です⁴。
7件の研究をまとめた休暇のメタ分析でも、健康・幸福感への小さなプラスの効果が報告される一方、その効果は仕事に戻ると薄れるとされています。休暇中の活動ごとの影響は、当時の研究では十分に解明されていません⁵。
旅行者が滞在時間を重視することを示す資料もあります。OracleとSkiftが2022年春に消費者5,266人を対象に実施した国際調査では、37%がアーリーチェックイン・レイトチェックアウトに追加料金を払う意向を示しました⁶。
旅先の朝に何をするかは、その人次第です。散歩に出ても、部屋でもう少し休んでもいい。十一時倶楽部は、こうした選択の余地を旅人に残すことを、宿泊の価値として広げていきます。
もう少し眠る、ひと息つく。朝の過ごし方を選べるように
旅先の朝を考える背景には、睡眠や休息に関する研究があります。厚生労働省「令和5年国民健康・栄養調査」では、20歳以上で1日の平均睡眠時間が6時間未満の人は、男性38.5%、女性43.6%でした⁷。「健康づくりのための睡眠ガイド2023」も、成人には個人差を踏まえつつ、6時間以上を目安に必要な睡眠を確保することを勧めています⁸。
慣れない環境で最初の夜に眠りにくくなる「第一夜効果」も、旅先の睡眠を考えるうえで参考になります。Tamakiらは、実験室での最初の睡眠時に、脳の一部で左右の睡眠の深さや外部の音への反応に差が生じることを報告しました⁹。
起きた直後のぼんやりした状態を扱う「睡眠慣性」の研究では、起床直後の認知機能の低下は、目覚めてから時間がたつにつれて和らぎ、事前の睡眠不足などによって強まることが報告されています¹⁰。また、健康な大学生15人を対象に睡眠を延長した研究では、日中の覚醒度、反応時間、活力・疲労の指標に改善が報告されています¹¹。
和心村は、旅人が出発時刻に合わせて睡眠や朝の支度を切り詰めずに済むよう、朝にゆとりのある滞在を提案します。

障子越しの光が入る、和心村の古民家の寝室。
子ども連れの家族にとっても、起床、朝食、身支度を急がずに進められる時間は、旅を考えるうえで大切な要素です。米国睡眠医学会の合意声明では、6~12歳は1日9~12時間、13~18歳は8~10時間の睡眠が推奨されています¹²。
台湾・香港など、日本と時差のある地域から訪れる人もいます。旅人によって異なる生活リズムや朝の支度に配慮し、その朝の過ごし方を自分で選べる時間を残したい、という考えです。
車で帰る人にも、出発前のひと息を
車で帰る旅人の朝を考える際には、睡眠不足と運転に関する研究も参考になります。米国の事故に関与した運転者6,845人を分析した研究では、直前24時間の睡眠が7~9時間だった人と比べ、6時間、5時間、4時間だった人が事故の責任ありと判定されるオッズは、それぞれ1.3倍、1.9倍、2.9倍でした¹³。
日本自動車研究所が2019年の交通事故統計を分析した報告でも、居眠り運転による死亡・重傷事故の約6割は、観光・娯楽、買い物、送迎、帰省などを含む私用の運転中に起きていました¹⁴。
車で訪れる旅人が、起きて、食べて、ひと息ついてから出発できるようにすることも、朝の時間を考える理由の一つです。
十一時倶楽部の背景として調べた、房総のチェックアウト時刻
11時以降を標準にしている宿の実例を確かめるため、和心村は2026年10月18日、房総周辺の宿泊施設をネット上の公開情報から調べました。楽天トラベル1,067件、じゃらん589件、Yahoo!トラベル551件、延べ2,207件の施設ページを確認しています。この件数には、同じ施設の複数サイトへの掲載や、掲載対象地域外の施設も含まれます。
調査結果と69軒の一覧は、十一時倶楽部の考えを支える資料です。標準チェックアウトの時刻を出典とともに確認できるようにし、旅人にも宿泊施設にも、朝の時間を考える手がかりとして公開しています。
楽天トラベルの対象4地域・1,067軒では、802軒の標準チェックアウトが10時、829軒が11時より前でした。この結果は今回の対象ページについての集計で、日本全国や海外の施設の割合を示すものではありません。
調査では、各サイトの施設ページをプログラムで読み取り、標準チェックアウト欄の時刻を記録しました。AIを使った他の予約サイトや公式サイトの補足調査も行い、候補の出典ページを改めて確認。地域外の施設や情報が食い違う施設を除き、重複を整理しました。同じ欄に複数の時刻がある場合は、調査上の基準として最も早い時刻を採用しています。
統合後、11時以降の候補として確認した282軒から、施設の形態と規模に関する本調査の基準で掲載対象を選びました。旅館・ホテル55軒のうち成人専用レジャーホテル5軒を除く50軒と、グランピング・ヴィラなど総部屋数4室以上の宿19軒、計69軒を紹介しています。

69軒のうち、標準チェックアウトが11時の宿は61軒、12時は6軒、13時と14時はそれぞれ1軒です。各施設の欄から、時刻を確認した予約サイトのページへ進めます。確認できた公式サイト・公式予約ページへのリンクも添え、エリアと時刻を見比べて探せる構成にしました。
掲載する施設の分類は、本調査の判断です。3室以下の一棟貸しや民泊、グランピング・ヴィラなどで部屋数を確認できない施設は掲載していません。対象地域は内房、外房、南房総、九十九里、銚子などとし、千葉市、成田、香取は除外しています。房総の全宿泊施設を網羅する名簿ではありません。
また、69軒は施設側の加盟申込を集計した数ではなく、公開情報を調べて掲載した施設数です。時刻は調査日に確認した情報のため、予約時は希望する宿泊プランに表示される最新の条件をご確認ください。調査方法・各施設の出典・掲載条件の詳細
和心村から、朝を急がない滞在を広げる
和心村は、保護猫たちが暮らす里山でゆっくり過ごす滞在を、湯治になぞらえて「猫治」と呼んでいます。
和心村の標準チェックアウトは11時です。猫のそばに座り、それぞれのペースで過ごす。庭や森を眺めながら、コーヒーを飲む。帰る日の朝にも、この場所で過ごす時間を残したいという思いが、「十一時倶楽部」の呼びかけにつながっています。

籠のベッドで丸くなって休む、和心村の猫。
「泊まることが、守ることになる。」お客様が和心村で楽しい時間を過ごしてくださることが、そのまま動物たちの暮らしを守る力と日本の里山の風景を未来へつなぐ力になります。
帰る日の朝にも、ゆっくり過ごせる1時間を。その時間を旅人が好きなように使えることを、房総から宿のおもてなしとして広げていきたいと考えています。

和心村の周辺に広がる、森と田畑の里山風景。
十一時倶楽部への参加・掲載について
参加・掲載を希望する宿泊施設は、「十一時倶楽部」と施設名を添えて和心村へご連絡ください。標準チェックアウト時刻の記載を確認したうえで、リストに追加します。連絡方法は、公開記事の参加案内に掲載しています。
公開記事・調査情報
記事名: 十一時倶楽部:朝を旅人に返す--房総半島で11時以降にチェックアウトできる宿69軒から始める、全ページ実査
公開先: IDAEO知識庫
公開言語: 日本語・英語・繁体字中国語・簡体字中国語
調査日: 2026年10月18日
記事と69軒の一覧: 日本語記事を読む
調査方法と事実台帳: 根拠資料を読む
和心村の運営会社は株式会社和心村、IDAEO知識庫の運営会社は株式会社和心で、両社は関連会社です。和心村自身の施設情報も、ほかの掲載施設と同じ調査方法で確認しています。
和心村:〒299-1733 千葉県富津市高溝14
和心村公式サイト
参考資料
本文中の出典に加え、原記事で紹介している補足資料も以下にまとめています。平日と休日の睡眠を扱う43,880人・13年間の追跡研究¹⁵、社会的な時間と体内時計のずれを扱うソーシャル・ジェットラグの研究¹⁶、睡眠不足の経済的影響に関するRAND Europeの報告¹⁷です。各資料の対象や限界は、原記事で確認できます。
[1] 宿力「全国139施設のチェックイン・チェックアウト時間」調査(2026年8月22日公開記事内)。調査対象139施設のうち、93施設(約67%)が10時チェックアウトでした。
[2] 観光庁「モデル宿泊約款」第9条
[3] Whillansほか「Buying time promotes happiness」、PNAS、2017年
[4] Sonnentag・Fritz「The Recovery Experience Questionnaire: Development and validation of a measure for assessing recuperation and unwinding from work」、Journal of Occupational Health Psychology、2007年
[5] de Bloomほか「Do we recover from vacation? Meta-analysis of vacation effects on health and well-being」、Journal of Occupational Health、2009年
[6] Oracle・Skift「Hospitality in 2025: Automated, Intelligent… and More Personal」(2022年、Oracle発表)
[7] 厚生労働省「令和5年国民健康・栄養調査 結果の概要」19ページ
[8] 厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」
[9] Tamakiほか「Night Watch in One Brain Hemisphere during Sleep Associated with the First-Night Effect in Humans」、Current Biology、2016年
[10] Hilditch・McHill「Sleep inertia: current insights」、Nature and Science of Sleep、2019年
[11] Kamdarほか「The impact of extended sleep on daytime alertness, vigilance, and mood」、Sleep Medicine、2004年
[12] Paruthiほか「Consensus Statement of the American Academy of Sleep Medicine on the Recommended Amount of Sleep for Healthy Children: Methodology and Discussion」、Journal of Clinical Sleep Medicine、2016年
[13] Tefft「Acute sleep deprivation and culpable motor vehicle crash involvement」、Sleep、2018年
[14] 日本自動車研究所「居眠り運転に関する交通事故統計データの分析」、JARI Research Journal、2023年
[15] Akerstedtほか「Sleep duration and mortality - Does weekend sleep matter?」、Journal of Sleep Research、2019年(2018年オンライン公開)
[16] Wittmannほか「Social jetlag: misalignment of biological and social time」、Chronobiology International、2006年
[17] RAND Europe「Why sleep matters - the economic costs of insufficient sleep」、2016年
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帰る日の朝もゆっくり過ごせることを、宿のおもてなしに。もう少し眠ることも、朝食のあとにコーヒーをもう一杯楽しむこともできます。帰り支度にもゆとりが生まれます。
保護猫たちが暮らす、泊まれる里山の小さな村「和心村」(千葉県富津市)は、「朝を旅人に返す」を合言葉に「十一時倶楽部」を提唱することになりました。日本では10時チェックアウトの宿が多く見られます¹。標準チェックアウトを11時以降とし、朝食や帰り支度を急がずに過ごせる朝を、宿のおもてなしとして広げる呼びかけです。
この考え方を伝えるため、時間と幸福感、睡眠、休暇に関する研究と、房総の宿泊施設のチェックアウト時刻を独自に調べた結果を、一つの記事にまとめて公開しました。
公開記事:十一時倶楽部:朝を旅人に返す

豆を挽いてコーヒーを淹れる、和心村でのひととき。
十一時倶楽部が大切にする、帰る日の朝の1時間
「十一時倶楽部(The Eleven O’Clock Club)」が大切にするのは、旅人が目覚めてから出発するまで、自分のペースで過ごせることです。
10時チェックアウトと比べると、11時なら客室を使える時間が1時間増えます。その時間を、もう少し眠るために使っても、朝食のあとに休むために使ってもいい。荷造りや身支度に余裕を持たせることもできます。

10時チェックアウトと比べた、11時チェックアウトの朝の1時間と過ごし方の例。
朝食のあと、すぐに帰り支度に取りかかる代わりに、もう少し部屋で過ごす。コーヒーを飲んでも、庭を眺めてもいい。和心村は、出発までの時間をどう使うか自分で選べることに、11時チェックアウトのよさがあると考えています。

椅子に腰を下ろして里山を眺められる、和心村の住箱のテラス。
十一時倶楽部では、標準チェックアウトが11時以降で、その時刻を公式サイトまたは予約サイトで確認できることを、参加・掲載の基準にしています。
有料のレイトチェックアウトや、特定の宿泊プランだけに適用される延長特典は、この基準に含めません。追加の延長手続きをしなくても、11時以降まで客室で過ごせることを大切にしています。
観光庁の「モデル宿泊約款」第9条も、客室の使用時間を全国一律で10時とは定めていません。時刻欄は空欄で、各施設が設定する形式です²。清掃や次の宿泊者の受け入れに必要な時間を踏まえながら、旅人が朝をゆっくり過ごせる時間をどう確保するか。その選択を、宿のおもてなしとして考えます。
「時間のゆとり」と幸福感を、研究から考える
2017年に米科学誌PNASに掲載されたWhillansらの研究は、米国・カナダ・デンマーク・オランダの計6,271人の調査で、時間を節約するサービスにお金を使うことと、生活満足度の高さとの関連を報告しています。
働く成人60人が、2週にわたって各40ドルを「時間を節約する買い物」と「物を買うこと」に使った実験では、買い物をした日の夕方に、その日の感情や時間に追われる感覚を尋ねました。回答を点数化して比べると、ポジティブな感情の平均値は、時間を節約した日が4.00、物を買った日が3.71でした。この指標は、高いほどポジティブな感情が強いことを示します。一方、時間に追われる感覚の平均値は、それぞれ3.49、4.22で、低いほど時間に追われる感覚が弱いことを示します³。
ここで紹介する研究は、時間や睡眠、休暇の価値を考えるための参考資料です。チェックアウト時刻による幸福度の違いを実証したものではありません。和心村は、時間の使い方を自分で選べることの価値を、旅先の朝にも生かせないかと考えています。
また、仕事を離れた時間に、心身を休める経験を調べたSonnentagとFritzの研究では、930人を対象とした尺度の検証で、心理的距離、リラックス、熟達、コントロールという4つの側面が区別されています。なかでも「コントロール」は、余暇をどう過ごすか自分で決められることに関わる視点です⁴。
7件の研究をまとめた休暇のメタ分析でも、健康・幸福感への小さなプラスの効果が報告される一方、その効果は仕事に戻ると薄れるとされています。休暇中の活動ごとの影響は、当時の研究では十分に解明されていません⁵。
旅行者が滞在時間を重視することを示す資料もあります。OracleとSkiftが2022年春に消費者5,266人を対象に実施した国際調査では、37%がアーリーチェックイン・レイトチェックアウトに追加料金を払う意向を示しました⁶。
旅先の朝に何をするかは、その人次第です。散歩に出ても、部屋でもう少し休んでもいい。十一時倶楽部は、こうした選択の余地を旅人に残すことを、宿泊の価値として広げていきます。
もう少し眠る、ひと息つく。朝の過ごし方を選べるように
旅先の朝を考える背景には、睡眠や休息に関する研究があります。厚生労働省「令和5年国民健康・栄養調査」では、20歳以上で1日の平均睡眠時間が6時間未満の人は、男性38.5%、女性43.6%でした⁷。「健康づくりのための睡眠ガイド2023」も、成人には個人差を踏まえつつ、6時間以上を目安に必要な睡眠を確保することを勧めています⁸。
慣れない環境で最初の夜に眠りにくくなる「第一夜効果」も、旅先の睡眠を考えるうえで参考になります。Tamakiらは、実験室での最初の睡眠時に、脳の一部で左右の睡眠の深さや外部の音への反応に差が生じることを報告しました⁹。
起きた直後のぼんやりした状態を扱う「睡眠慣性」の研究では、起床直後の認知機能の低下は、目覚めてから時間がたつにつれて和らぎ、事前の睡眠不足などによって強まることが報告されています¹⁰。また、健康な大学生15人を対象に睡眠を延長した研究では、日中の覚醒度、反応時間、活力・疲労の指標に改善が報告されています¹¹。
和心村は、旅人が出発時刻に合わせて睡眠や朝の支度を切り詰めずに済むよう、朝にゆとりのある滞在を提案します。

障子越しの光が入る、和心村の古民家の寝室。
子ども連れの家族にとっても、起床、朝食、身支度を急がずに進められる時間は、旅を考えるうえで大切な要素です。米国睡眠医学会の合意声明では、6~12歳は1日9~12時間、13~18歳は8~10時間の睡眠が推奨されています¹²。
台湾・香港など、日本と時差のある地域から訪れる人もいます。旅人によって異なる生活リズムや朝の支度に配慮し、その朝の過ごし方を自分で選べる時間を残したい、という考えです。
車で帰る人にも、出発前のひと息を
車で帰る旅人の朝を考える際には、睡眠不足と運転に関する研究も参考になります。米国の事故に関与した運転者6,845人を分析した研究では、直前24時間の睡眠が7~9時間だった人と比べ、6時間、5時間、4時間だった人が事故の責任ありと判定されるオッズは、それぞれ1.3倍、1.9倍、2.9倍でした¹³。
日本自動車研究所が2019年の交通事故統計を分析した報告でも、居眠り運転による死亡・重傷事故の約6割は、観光・娯楽、買い物、送迎、帰省などを含む私用の運転中に起きていました¹⁴。
車で訪れる旅人が、起きて、食べて、ひと息ついてから出発できるようにすることも、朝の時間を考える理由の一つです。
十一時倶楽部の背景として調べた、房総のチェックアウト時刻
11時以降を標準にしている宿の実例を確かめるため、和心村は2026年10月18日、房総周辺の宿泊施設をネット上の公開情報から調べました。楽天トラベル1,067件、じゃらん589件、Yahoo!トラベル551件、延べ2,207件の施設ページを確認しています。この件数には、同じ施設の複数サイトへの掲載や、掲載対象地域外の施設も含まれます。
調査結果と69軒の一覧は、十一時倶楽部の考えを支える資料です。標準チェックアウトの時刻を出典とともに確認できるようにし、旅人にも宿泊施設にも、朝の時間を考える手がかりとして公開しています。
楽天トラベルの対象4地域・1,067軒では、802軒の標準チェックアウトが10時、829軒が11時より前でした。この結果は今回の対象ページについての集計で、日本全国や海外の施設の割合を示すものではありません。
調査では、各サイトの施設ページをプログラムで読み取り、標準チェックアウト欄の時刻を記録しました。AIを使った他の予約サイトや公式サイトの補足調査も行い、候補の出典ページを改めて確認。地域外の施設や情報が食い違う施設を除き、重複を整理しました。同じ欄に複数の時刻がある場合は、調査上の基準として最も早い時刻を採用しています。
統合後、11時以降の候補として確認した282軒から、施設の形態と規模に関する本調査の基準で掲載対象を選びました。旅館・ホテル55軒のうち成人専用レジャーホテル5軒を除く50軒と、グランピング・ヴィラなど総部屋数4室以上の宿19軒、計69軒を紹介しています。

69軒のうち、標準チェックアウトが11時の宿は61軒、12時は6軒、13時と14時はそれぞれ1軒です。各施設の欄から、時刻を確認した予約サイトのページへ進めます。確認できた公式サイト・公式予約ページへのリンクも添え、エリアと時刻を見比べて探せる構成にしました。
掲載する施設の分類は、本調査の判断です。3室以下の一棟貸しや民泊、グランピング・ヴィラなどで部屋数を確認できない施設は掲載していません。対象地域は内房、外房、南房総、九十九里、銚子などとし、千葉市、成田、香取は除外しています。房総の全宿泊施設を網羅する名簿ではありません。
また、69軒は施設側の加盟申込を集計した数ではなく、公開情報を調べて掲載した施設数です。時刻は調査日に確認した情報のため、予約時は希望する宿泊プランに表示される最新の条件をご確認ください。調査方法・各施設の出典・掲載条件の詳細
和心村から、朝を急がない滞在を広げる
和心村は、保護猫たちが暮らす里山でゆっくり過ごす滞在を、湯治になぞらえて「猫治」と呼んでいます。
和心村の標準チェックアウトは11時です。猫のそばに座り、それぞれのペースで過ごす。庭や森を眺めながら、コーヒーを飲む。帰る日の朝にも、この場所で過ごす時間を残したいという思いが、「十一時倶楽部」の呼びかけにつながっています。

籠のベッドで丸くなって休む、和心村の猫。
「泊まることが、守ることになる。」お客様が和心村で楽しい時間を過ごしてくださることが、そのまま動物たちの暮らしを守る力と日本の里山の風景を未来へつなぐ力になります。
帰る日の朝にも、ゆっくり過ごせる1時間を。その時間を旅人が好きなように使えることを、房総から宿のおもてなしとして広げていきたいと考えています。

和心村の周辺に広がる、森と田畑の里山風景。
十一時倶楽部への参加・掲載について
参加・掲載を希望する宿泊施設は、「十一時倶楽部」と施設名を添えて和心村へご連絡ください。標準チェックアウト時刻の記載を確認したうえで、リストに追加します。連絡方法は、公開記事の参加案内に掲載しています。
公開記事・調査情報
記事名: 十一時倶楽部:朝を旅人に返す--房総半島で11時以降にチェックアウトできる宿69軒から始める、全ページ実査
公開先: IDAEO知識庫
公開言語: 日本語・英語・繁体字中国語・簡体字中国語
調査日: 2026年10月18日
記事と69軒の一覧: 日本語記事を読む
調査方法と事実台帳: 根拠資料を読む
和心村の運営会社は株式会社和心村、IDAEO知識庫の運営会社は株式会社和心で、両社は関連会社です。和心村自身の施設情報も、ほかの掲載施設と同じ調査方法で確認しています。
和心村:〒299-1733 千葉県富津市高溝14
和心村公式サイト
参考資料
本文中の出典に加え、原記事で紹介している補足資料も以下にまとめています。平日と休日の睡眠を扱う43,880人・13年間の追跡研究¹⁵、社会的な時間と体内時計のずれを扱うソーシャル・ジェットラグの研究¹⁶、睡眠不足の経済的影響に関するRAND Europeの報告¹⁷です。各資料の対象や限界は、原記事で確認できます。
[1] 宿力「全国139施設のチェックイン・チェックアウト時間」調査(2026年8月22日公開記事内)。調査対象139施設のうち、93施設(約67%)が10時チェックアウトでした。
[2] 観光庁「モデル宿泊約款」第9条
[3] Whillansほか「Buying time promotes happiness」、PNAS、2017年
[4] Sonnentag・Fritz「The Recovery Experience Questionnaire: Development and validation of a measure for assessing recuperation and unwinding from work」、Journal of Occupational Health Psychology、2007年
[5] de Bloomほか「Do we recover from vacation? Meta-analysis of vacation effects on health and well-being」、Journal of Occupational Health、2009年
[6] Oracle・Skift「Hospitality in 2025: Automated, Intelligent… and More Personal」(2022年、Oracle発表)
[7] 厚生労働省「令和5年国民健康・栄養調査 結果の概要」19ページ
[8] 厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」
[9] Tamakiほか「Night Watch in One Brain Hemisphere during Sleep Associated with the First-Night Effect in Humans」、Current Biology、2016年
[10] Hilditch・McHill「Sleep inertia: current insights」、Nature and Science of Sleep、2019年
[11] Kamdarほか「The impact of extended sleep on daytime alertness, vigilance, and mood」、Sleep Medicine、2004年
[12] Paruthiほか「Consensus Statement of the American Academy of Sleep Medicine on the Recommended Amount of Sleep for Healthy Children: Methodology and Discussion」、Journal of Clinical Sleep Medicine、2016年
[13] Tefft「Acute sleep deprivation and culpable motor vehicle crash involvement」、Sleep、2018年
[14] 日本自動車研究所「居眠り運転に関する交通事故統計データの分析」、JARI Research Journal、2023年
[15] Akerstedtほか「Sleep duration and mortality - Does weekend sleep matter?」、Journal of Sleep Research、2019年(2018年オンライン公開)
[16] Wittmannほか「Social jetlag: misalignment of biological and social time」、Chronobiology International、2006年
[17] RAND Europe「Why sleep matters - the economic costs of insufficient sleep」、2016年
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