国立大学法人千葉大学
千葉大学予防医学センターの河口謙二郎特任助教(研究当時、現・東京女子医科大学助教)、竹内寛貴特任研究員、中込敦士准教授、井手一茂特任准教授、近藤克則特任教授の研究チームは、全国20~79歳の成人を対象としたインターネット調査データを用い、WVA(注1)により、所得と生活満足度の関係を基準として、健康・社会関係・健康行動に関する19指標と生活満足度との関連が、どの程度の所得額に相当するかを調査しました。その結果、生活満足度が1点高い状態を1年間維持する価値を表す「1 WELLBY(注2)」は約151万円と推定されました。これにより、孤独感、地域への信頼や愛着、食事多様性など、従来は「お金」に換算しにくかった「ウェルビーイング(幸福や心身の良好な状態)」の価値を「見える化」することが可能になります。
本研究成果は、2026年6月13日に、学術誌Value in Healthでオンライン公開されました。
(論文はこちら:10.1016/j.jval.2026.05.008)

図:WVAによる金銭換算値を推定する方法の概要
■研究の背景
限られた予算を公的施策や事業へ適切に配分するには、その成果を共通の「お金」で捉えることが重要です。従来は、医療費の削減や生産性損失など金銭換算しやすい項目が中心で、孤独感や社会的つながりなど、「ウェルビーイング」の金銭換算値を推定する方法は限られていました。本研究ではWVAを用い、全国20~79歳の成人データから、健康・社会関係・健康行動に関する19指標と生活満足度との関連に基づく金銭換算値を推定しました。
■研究成果のポイント(詳細はPDF参照)
・健康・社会関係・健康行動の19指標について金銭換算値を推定:約15,000人を対象に、2025年2~3月に調査を実施しました。メンタルヘルス、社会関係、健康行動、ヘルスリテラシー、女性の健康の5領域19指標について、各指標と生活満足度との関連がどの程度の所得額に相当するかを推定しました。
・1 WELLBYの価値は約151万円:生活満足度が1点高い状態を1年間維持する価値は、約151万円でした。この分析では、世帯人数を考慮した等価世帯所得(注3)を基準とし、所得と生活満足度の関係における測定しにくい要因の影響を抑えるため、両親の学歴を操作変数(注4)として用いました。分析条件を変えた複数の分析では、推定値は約151万~204万円の範囲でした。
・政策評価やSROI(注5)分析への応用:今回推定した金銭換算値は、事業の効果を適切な方法で測定したうえで、その変化量と組み合わせることにより、社会的価値の金額を推定できます。異なる事業の結果を共通の単位で整理することにも活用できます。ただし、事業効果を因果的に評価するには、適切な研究デザインが別途必要です。
■今後の展望(研究者コメント)
本研究は、健康・社会関係・健康行動の各指標と生活満足度との関連を「お金」で見える化し、医療・介護・社会福祉・地域行政などの政策や事業を共通単位で検討する基盤を提供します。今後、自治体や民間企業による費用便益分析やSROI分析の参照値としての活用が期待されます。
■用語解説
注1)WVA(Well-being Valuation Approach):所得と生活満足度の関係を基準として、健康状態や社会とのつながりなどと生活満足度との関連を所得額に換算する方法。
注2)WELLBY(Well-being-Adjusted Life-Year):0~10点で評価する1人の生活満足度が、1点高い状態で1年間過ごす価値を表す単位。政策や事業の成果を生活満足度という共通の基準で捉える際に用いられる。
注3)等価世帯所得:世帯全体の所得を世帯人数の平方根で割り、世帯人数の違いを考慮した所得。たとえば、同じ世帯所得でも、1人暮らしと4人暮らしでは生活のゆとりが異なるため、この違いを調整する。
注4)操作変数法:所得と生活満足度の関係を、測定できない要因による偏りをできる限り抑えて推定するための分析方法。本研究では、父親・母親の学歴を操作変数として用いた。
注5)SROI(Social Return on Investment:社会的投資収益率):事業や政策によって生じた社会的価値を金銭換算し、事業や政策にかけた費用に対して、どれだけの社会的な価値が生まれたかを示す指標。
■論文情報
タイトル:The Monetary Value of Health and Health Behaviors in Japan: A Well-being Valuation Approach
著者:Kenjiro Kawaguchi, Hiroki Takeuchi, Atsushi Nakagomi, Kazushige Ide, Katsunori Kondo
雑誌名:Value in Health
DOI:10.1016/j.jval.2026.05.008
■研究プロジェクトについて
本研究は戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)「包摂的コミュニティプラットフォームの構築」JPJ012248の支援を受けて実施されました。
詳細はこちら
d15177-1211-8dcc19dd6860d02a7022eea12a8c35c6.pdf
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千葉大学予防医学センターの河口謙二郎特任助教(研究当時、現・東京女子医科大学助教)、竹内寛貴特任研究員、中込敦士准教授、井手一茂特任准教授、近藤克則特任教授の研究チームは、全国20~79歳の成人を対象としたインターネット調査データを用い、WVA(注1)により、所得と生活満足度の関係を基準として、健康・社会関係・健康行動に関する19指標と生活満足度との関連が、どの程度の所得額に相当するかを調査しました。その結果、生活満足度が1点高い状態を1年間維持する価値を表す「1 WELLBY(注2)」は約151万円と推定されました。これにより、孤独感、地域への信頼や愛着、食事多様性など、従来は「お金」に換算しにくかった「ウェルビーイング(幸福や心身の良好な状態)」の価値を「見える化」することが可能になります。
本研究成果は、2026年6月13日に、学術誌Value in Healthでオンライン公開されました。
(論文はこちら:10.1016/j.jval.2026.05.008)

図:WVAによる金銭換算値を推定する方法の概要
■研究の背景
限られた予算を公的施策や事業へ適切に配分するには、その成果を共通の「お金」で捉えることが重要です。従来は、医療費の削減や生産性損失など金銭換算しやすい項目が中心で、孤独感や社会的つながりなど、「ウェルビーイング」の金銭換算値を推定する方法は限られていました。本研究ではWVAを用い、全国20~79歳の成人データから、健康・社会関係・健康行動に関する19指標と生活満足度との関連に基づく金銭換算値を推定しました。
■研究成果のポイント(詳細はPDF参照)
・健康・社会関係・健康行動の19指標について金銭換算値を推定:約15,000人を対象に、2025年2~3月に調査を実施しました。メンタルヘルス、社会関係、健康行動、ヘルスリテラシー、女性の健康の5領域19指標について、各指標と生活満足度との関連がどの程度の所得額に相当するかを推定しました。
・1 WELLBYの価値は約151万円:生活満足度が1点高い状態を1年間維持する価値は、約151万円でした。この分析では、世帯人数を考慮した等価世帯所得(注3)を基準とし、所得と生活満足度の関係における測定しにくい要因の影響を抑えるため、両親の学歴を操作変数(注4)として用いました。分析条件を変えた複数の分析では、推定値は約151万~204万円の範囲でした。
・政策評価やSROI(注5)分析への応用:今回推定した金銭換算値は、事業の効果を適切な方法で測定したうえで、その変化量と組み合わせることにより、社会的価値の金額を推定できます。異なる事業の結果を共通の単位で整理することにも活用できます。ただし、事業効果を因果的に評価するには、適切な研究デザインが別途必要です。
■今後の展望(研究者コメント)
本研究は、健康・社会関係・健康行動の各指標と生活満足度との関連を「お金」で見える化し、医療・介護・社会福祉・地域行政などの政策や事業を共通単位で検討する基盤を提供します。今後、自治体や民間企業による費用便益分析やSROI分析の参照値としての活用が期待されます。
■用語解説
注1)WVA(Well-being Valuation Approach):所得と生活満足度の関係を基準として、健康状態や社会とのつながりなどと生活満足度との関連を所得額に換算する方法。
注2)WELLBY(Well-being-Adjusted Life-Year):0~10点で評価する1人の生活満足度が、1点高い状態で1年間過ごす価値を表す単位。政策や事業の成果を生活満足度という共通の基準で捉える際に用いられる。
注3)等価世帯所得:世帯全体の所得を世帯人数の平方根で割り、世帯人数の違いを考慮した所得。たとえば、同じ世帯所得でも、1人暮らしと4人暮らしでは生活のゆとりが異なるため、この違いを調整する。
注4)操作変数法:所得と生活満足度の関係を、測定できない要因による偏りをできる限り抑えて推定するための分析方法。本研究では、父親・母親の学歴を操作変数として用いた。
注5)SROI(Social Return on Investment:社会的投資収益率):事業や政策によって生じた社会的価値を金銭換算し、事業や政策にかけた費用に対して、どれだけの社会的な価値が生まれたかを示す指標。
■論文情報
タイトル:The Monetary Value of Health and Health Behaviors in Japan: A Well-being Valuation Approach
著者:Kenjiro Kawaguchi, Hiroki Takeuchi, Atsushi Nakagomi, Kazushige Ide, Katsunori Kondo
雑誌名:Value in Health
DOI:10.1016/j.jval.2026.05.008
■研究プロジェクトについて
本研究は戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)「包摂的コミュニティプラットフォームの構築」JPJ012248の支援を受けて実施されました。
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