北朝鮮による拉致被害者有本恵子さん=失踪当時(23)=の父明弘さん(96)が亡くなり、遺族が17日、神戸市内で記者会見した。「再会できないまま亡くなったのは残念」「残る家族を気遣ってきた」。自分の世代で解決し、子どもたちには問題を引き継がせないと取り組み続けた明弘さん。息子や娘たちは「感謝している」と涙ながらに語った。
「恵子のことは残念。他の家族で元気に暮らしていけよ」。同居していた四女郁子さん(63)によると、明弘さんは亡くなる前にそう言い残していた。昨年10月ごろから体の衰えが目立つようになったが、寝たきりにはならず数日前も立ち上がることができた。「穏やかな顔だった」と郁子さんは最期を振り返った。
20年に亡くなった妻嘉代子さんと解決に向けた活動を続けたが、他の家族には拉致問題について話すことはほとんどなかった。東京などでの集会に参加しても報告はなく、テレビのニュースで行き先を知った。長女北谷昌子さん(68)は「父母は最初から自分たちの代で終わりだと決めていたようだ」と話す。
